会員の皆様
桜が満開となる季節を迎えましたが、如何お過ごしでしょうか。メルマガ4月号をお届けします。春の息吹とともに新型コロナウィルスの収束が期待されましたが、未だに楽観できる状況にはないようです。 また、ウクライナの情勢も、停戦への道筋が見えず、多くの民間人が犠牲になるなど、悪化の一途をたどっているように見えます。
メルマガ4月号では、ポーランド南東部のウクライナ国境に近い美しい町プシェミシルから届いた便りをご紹介します。この小さな町もウクライナの戦火の影響を大きく受けています。
寄稿・論説
プシェミシルからの便り
ウクライナへのロシア軍侵攻はキーウ(キエフ)やマリウポルなど市街地に及び、苛烈を極めています。戦火を逃れて数百万人規模の避難民が国外への脱出を余儀なくされています。その約6割をポーランドが受け入れてきています。ポーランドでは政府のみならず、多数の民間ボランティアが避難民に対して温かい支援の手を差し伸べています。自らの車で避難民を輸送したり、自らの家の部屋を宿泊場所として提供したり、食糧、水、衣類などを無償で提供したりしています。このようなボランティアは、プシェミシルやジェシュフなど国境近くの町やワルシャワやクラクフなど主要都市に設置された保護施設で昼夜を問わず献身的に働いています。
プシェミシルには20年ほど前から「日本文化センター」があり、イガ・ジョホフスカさんが小川敦子さんとともに同センターを設立・運営して日本文化を発信しています。私もポーランドに在勤していたころに訪ねたことがありました。この便りは、安否を気遣う私のメールに対してジョホフスカさんが返信してくれたものです。幸いお二人ともお元気の様子で安心しましたが、静かで平和だったプシェミシルの空気は一変してしまったようです。そして、お二人も戦火を逃れてやってくる避難民の支援にボランティアとして従事されていることが分かりました。避難民たちは、食糧、水、医薬品など基本的な生活物資を必要としていることは明らかです。日本を含め国際的な支援の輪が広がっていることには勇気づけられます。
家族と別れて戦火の中の長い道のりを逃れてきた避難民たちには、生活物資を提供すると同時に、悲嘆にくれ疲弊した彼らの心をケアすることも重要です。特に子供たちの心に寄り添う温かい支援が求められています。「愛するペット以外は全てを失った子供たちがいる」とのジョホフスカさんの指摘にはハッとさせられました。ペットを助けることが子供達を助ける活動になることにも気付かされました。詳しくは「
プシェミシルからの便り」をご一読ください。この便りの中に支援物資や資金の送付先についても記載がありますので、よろしくお願いします。
ウクライナでの停戦が一日も早く実現し、平和な母国に避難民が戻り、家族との再会を果たし、不条理な戦禍を癒すことのできる日の近いことを願ってやみません。
山中 誠
日本ポーランド文化交流協会理事長
元駐ポーランド日本国大使