【ニュースリリース】
ポーランドと世界を結ぶ「海の窓」−グダンスク、グディニアの港湾開発
日本の新たなビジネス機会
ポーランドは、欧州の中央に位置することから、古来よりヨーロッパ大陸を東西南北に伸びる輸送路が交差する場となってきました。この特性を最大限に活かすため、現在ポーランドでは、数多くのインフラプロジェクトが進行中です。実現後、ポーランドは文字通り国際的な交通・輸送のハブ拠点となることでしょう。そのカギを握る二大プロジェクトがポーランド中心部における新中央空港(CPK)建設と、バルト海に面するポーランドの港湾拠点であるグダンスク港(中央港)およびグディニア港(外港)の拡張・近代化です。今年1月にマテウシュ・モラヴィエツキ首相が日本を公式訪問した際には、これらプロジェクトへの日本の参入が安倍晋三首相との首脳会談の主要議題の一つにもなりました。ヴェルサイユ条約の発効により、ポーランドがバルト海に通じる地域を奪還して100周年を迎えた今年、ポーランドが持つ海上輸送の可能性を活かし、将来を見据えた海運計画を立てる好機になっています。
歴史を振り返ると、ポーランドはこれまで幾度も海への出口を失い、自由都市グダンスク(ダンツィヒ)は第二次世界大戦勃発の火種となりました。それでもポーランドにとって、バルト海に通じる地域の奪還は、名実ともに完全な主権回復をする上で、譲ることの出来ない基本的な条件でした。今日ポーランドは、ポーランドに属する770kmに及ぶバルト海の海岸線、その海岸線に発達した4つの港湾都市(グダンスク、グディニア、シフィノウイシチェ、シュチェチン)と、欧州の中心に位置する地政学的条件を享受しています。
グダンスク港はバルト海の数少ない不凍港として、ポーランド国家の成立当初から、一年を通じて多様な品々をポーランドにもたらす一方、当時から評判の高かった農産品をはじめとする様々な産物を送り出し、交易に重要な役割を果たして来ました。バルト海から黒海に至る広大な領土に、経済、文化、芸術が花開き、欧州随一の大国として栄えたポーランド史における16世紀の「黄金期」もグダンスク港に支えられていました。一方、1920年代からの戦間期20年間の大規模インフラ整備で急速に発展したグディニア港は、ポーランドの海運能力を大幅に向上させました。ドイツの港湾都市と競合しつつ、発展を続ける欧州のハブ港湾の一つとして、グダンスク港と並び称されています。
近年、ポーランドの港が競争力を増した結果、港湾設備の拡充が不可欠になりました。そこで浮上したのが、上述したグダンスク港の「中央港」とグディニア港の「外港」建設です。両プロジェクトとも、スマート&グリーン技術を導入し、世界最高水準の大水深コンテナターミナル、フェリーターミナル、客船ターミナル、自動車ターミナルといった数々のターミナルの建設を予定しています。加えて、グダンスクの中央港には液化天然ガス(LNG)ターミナルおよび液化天然ガス発電所の建設も計画されています。
ポーランドの主要港湾の拡張は、自動車産業をはじめとする、日本の対ポーランド投資の観点からも朗報であり、今後も新規生産拠点の建設地にポーランドを選んでいただく切り札となることでしょう。日本をはじめとするアジア地域との貿易拡大にも有効です。グダンスク港は、2019年から中国西安市に直結する欧州最大のマワシェヴィッチ鉄道貨物ターミナルに最も近い港でもあります。こうした利便性は日産、三菱、ヒュンダイ、キア車などを扱う大手自動車物流会社アダムポル(Adampol S.A.)など、グダニスク港の顧客に高く評価されています。今後、中央港および外港の開発により、欧州・アジア間の貿易、物流企業による需要は、益々拡大することでしょう。また、両港とも三海洋イニシアティブの需要拠点であると同時に、EU域内の交通インフラを総合的な交通ネットワークに再構築する「汎欧州運輸ネットワーク(TEN-T)計画」の重要な港湾拠点になっています。
文:駐日ポーランド共和国大使館
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