新駐日大使ご挨拶 パヴェウ・ミレフスキ閣下
日本・ポーランド文化交流協会の皆様、こんにちは。
2019年10月に日本に赴任して参りました。駐日ポーランド大使のパヴェウ・ミレフスキと申します。どうぞよろしくお願い致します。
日本に赴任をする前は、ポーランド共和国外務省のアジア・太平洋局にて勤務しておりました。その前にはオーストラリア、中国と赴任して参りましたので、日本を含むアジア・太平洋圏には以前より関心を寄せています。
私が赴任したまさにその日、神戸では展覧会「ショパン-200年の肖像」開幕前夜でした。大きな台風19号(ハギビス)が日本列島に近づいており、忘れられない日となりました。この台風により、被害を受けた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
また、2019年は日本とポーランドの国交樹立100周年の記念の年でした。
その前の2018年のポーランド独立回復100周年に続き、日本のパートナーの皆様におかれましては、2019年の間、経済、産業、文化、草の根全ての面において、記念年を創り上げ、盛り上げていただきました。この場をお借りしまして、改めまして深く御礼を申し上げます。「日本・ポーランド国交樹立100周年記念事業」として記念ロゴを掲げた催しは年間100件を超え、注目すべきはまた、東京・大阪といった大都市のみならず、日本列島各地にてイベントが行われ、日本の皆様にポーランドのことをまた少し知っていただくきっかけとなったであろう点です。日本の各地で毎日のように、我が国に関する話題が出たり、我が国の文化に触れる機会がありましたことは大変喜ばしく、皆様におかれましてもより親しみを感じていただけるきっかけとなったのならば幸いです。
さて、5年に一度ワルシャワで開催されるフリデリク・ショパン国際ピアノコンクールが2021年10月に開かれます。世界中のピアニストの憧れと目標となっていることはもちろん、クラシック音楽を愛する聴衆にとっても生命と精神の糧を養うことのできる素晴らしい機会です。会場となるワルシャワのフィルハーモニーの客席には毎回、着物を着た日本からのお客様が多く見られることは、日本の皆様が我々ポーランド人と同様に美しい音楽、特にショパンの素晴らしい音楽性を共に愛し、日々研鑽を積み本番に臨むピアニストたちを尊敬・称賛する心を共通して持っていることを示しているように思います。フリデリク・ショパンは両国を繋ぐ重要な人物です。
さらに、シベリアに抑留されていたポーランド人家族のうち、親を失い、行き場を無くしてしまった孤児たちを引き取り、手当てをする決断を、日本赤十字社をはじめ日本政府が決意し、孤児たちが船に乗って日本にやって来たのは、今から100年前の1920年7月のことでした。その後、東京と兵庫に別れて手当てを受け、栄養状態を回復し、元気になった子ども達は日本の歌を歌い、ありがとうと言いながら日本を後にしました。この時の日本へのご恩を、ポーランド国民は決して忘れません。
また、カトリック神父であるマキシミリアン・マリア・コルベ神父が日本へやって来てからも今年で100年が経ちます。コルベ神父は長崎に到着し、そこに修道院を創立し、神の教えを身近に感じられる冊子「聖母の騎士」の発行を始めました。そのどちらもが、現在でも長崎市の本河内で受け継がれており、神父様、修道士、修道女のみなさんのおかげで今日に至るまで平和と平穏を祈り続ける拠点となっています。
今回は周年を迎える両国の繋がりをご紹介しましたが、歴史の中でポーランドが関わり、我が国の国民が日本国民の皆様と交流をした記録が日本各地に確かに残っています。これから様々な機会で、そのご紹介をし、また私たちもその歴史の1ページとなる交流をしていくことを望みます。神戸を始め関西圏の皆様におかれましては、貴会代表理事の山中誠様、ならびに同会理事兼在神戸ポーランド共和国名誉領事の摺河祐彦様のご尽力により「ポーランド・フェスタ」が毎年開催されており、貴会において文化交流講座も盛んに開かれていることを伺っております。是非ともこの交流を今後も続けて参りましょう。最後に皆様のご健康とご多幸を心よりお祈りし、今後の両国関係発展を願ってやみません。
駐日ポーランド共和国特命全権大使
パヴェウ・ミレフスキ
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